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2006年8月26日 (土)

三ヶ月章『一法学徒の歩み』

 著者の『法学入門』に感銘を受けて以来贔屓にしていますが、このエッセー集もなかなかの好著でした。文章は平易かつ正確ですが決して無味乾燥ではなく、むしろ情熱的で、言いたいことはしっかり言っていて、独特のリズムと味わいがあります。文体というのはやはり持って生まれた才能なのでしょうね。
 著者の『民事訴訟法』は法改正以前の版なので私が今後読むことはないと思いますが、この体系書のファンも少なくないようです。木村晋介弁護士なんかそうですし、行政法の藤田宙靖氏も『行政法Ⅰ(総論)』の序文に名前を挙げていました。読者の心を熱くさせてくれるようです。
 そういえば『法学入門』を高く評価していたのは私の恩師の中村雄二郎先生でした。そもそも師匠が褒めていたのがきっかけで私も読んだのでした。今思い出しました。やっぱ学恩を受けていますね。思えば他にもいい本をいろいろと紹介してもらいました。多謝。
 さて、本書は昭和30年代のエッセーも含まれていて、いろいろと当時の状況も偲ばれます。また、当時匿名で書かれた文章からは当時の状況改革への重要な提言が熱く語られています。東大法学部の教授として、また、最高裁判事として、日本の法学をリードしてきた人なのだということが、あらためてよくわかりました。威張ったところがまったく感じられないのがいいですね。

(有斐閣2005年2800円+税)

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