上山安敏『世紀末ドイツの若者』
ワンダーフォーゲルの何だか異様に健康なイメージと世紀末ドイツの世相が本書で初めてつながりました。この時代のヨーロッパはそれぞれいろんな方向を向いていましたが、やはり同じ時代の空気を呼吸していて、フランスのアールヌーヴォーはユーゲントシュティルやゼツェッシオンあるいはベルギー象徴派やトランシルヴァニアの建築まで共通しています。ワンダーフォーゲルはこれらに対しては一見反発するような運動ですが、やっぱり一つの大きな流れの一部だということを著者はおそらくドイツ人もびくりするほどの文献を使って論じていきます。いろいろとイメージが膨らむ刺激的な本で、勉強になりました。ゲーテやウェーバーが決闘して顔に傷を残していたなんて話も、本書の中ではなるほど彼らも当時の若者だったのだという脈絡でよく理解できます。
(講談社学術文庫1994年840円)
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