S・D・レヴィット&S・J・ダブナー『ヤバい経済学』
これは何とも痛快な傑作です。柄のないところに見事に柄を付ける新鮮な経済学です。「麻薬の売人はなぜママと暮らしているのか」、といった問題が微妙で見えにくい因果関係の連鎖から成り立っていることを教えてくれます。経済学者らしくなく、ツールとしての数学は出てきませんが、この発想や思考法は数学的で、かのフォン・ノイマンに近いものを感じます。楽観的な世界観も共通しています。
この一見奇妙な経済学はいわゆる行動経済学とは親和性があるように思いますが、扱うテーマが不動産屋とK.K.K.の共通性だったり、学校の先生のズルと相撲の力士の八百長といった問題だったりするので、伝統的アカデミズムからはきっと顰蹙を買っていることでしょう。
もちろんそんなことは一般読者にとってはどうでもいいのですが、いずれにしても、こんな面白い本が出てくるのは実にうれしいことです。本書の帯には「全米100万部超のベストセラー」と書いてありますが、そうでしょうね。アメリカの読書人もまんざらバカではなさそうです。翻訳も実によくこなれていて読みやすい文章になっています。名訳だと思います。
(望月衛訳、東洋経済新報社2006年1800円+税)
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