林壮一『マイノリティーの拳-世界チャンピオンの光と闇』
世界チャンピオン5名のルポルタージュ。天国と地獄を見てきた人たちを直接取材しながら書いた本です。日本人でもこういう本が書けるのですね。著者はプロテスト合格後故障でボクサーの道をあきらめ、アメリカに渡って10年間生活しながらこういう上質のノンフィクションをを書き上げました。大変なことだと思います。ボクサーたちへの愛情にあふれています。
世界チャンピオンに3度もなりながら、興行主から「噛ませ犬」という役割を担わされていたため、ほとんど脚光を浴びずに終わってしまったアイラン・バークレーというボクサーの存在を本書で初めて知りました。人為的な悲惨さに満ちた世界です。亀田-ランダエタ戦のような不条理な判定もしばしばあり、その点でもアメリカはやはり本場のようです。
しかし、その中で懸命に生きて戦っている彼らの姿はやはり感動的で、多くのことを教えてくれます。私の職場にも不条理なこと不当なことが山ほどありますが、結局現在自分の目の前の仕事に全力を尽くすしかありません。周りを見たら、しばしば学歴や業績をごまかしながら、ズルして楽して威張りたい人びと(大学教員)ばかりなので、いやになりますが、同化したらおしまいですもんね。
(新潮社2006年1400円税別)
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