ビル・ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』
この本に一週間かかりきりでようやく読み終えました。科学読み物としても十分な内容と分量(本文635頁)がありましたが、作家の筆にかかると、嫉妬や憎悪に満ちた科学者の醜い争いもこれでもかと活写されていて、人間ドラマとしても楽しめます。かなりうんざりもしますが。
たとえば植物の分類の大家として有名なリンネは、自分に対する批判分子はつまらない植物の名前に命名したり、新種の植物にやたらと生殖器関連の名前を付けたりしていたとのことですが、自然科学の歴史が奇人変人たちの闘争の歴史でもあることがわかりました。
それにしても著者は実に多くの専門の科学者に直接会ってインタビューしたそうですが、超ミクロの世界から巨大な宇宙空間の物理学まで実にわかりやすく解説してくれています。そして、著者本人が言うように「私たちが途方もない幸運の上に今ここに生きている」ということをあらためて実感することができます。アメリカではベストセラーになったそうですが、この翻訳書は発売日から8ヶ月ほどたっていてもまだ初版第一刷で、そんなに売れていないようです。もっと読まれるといいのですが。
(楡井浩一訳NHK出版2006年3000円+税)
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