レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』
ブラッドベリはかつて大好きな作家だったので、今回本書が復刊されたと聞いて早速入手して読んでみました。22篇の短編のうち、2篇だけが想像通りのブラッドベリらしい作品でした。後は退屈だったり肩すかしを食らったような作品だったりします。途中で何を言っているのかわからなくなるようなところがあるのは、言葉をできるだけ刈り込みながら、同時にイメージをきらびやかに伝えようとするこの作家のスタイルのためかと思われます。
わからないのはひょっとしたら日本語として必ずしも読みやすいとはいえない翻訳のせいかとも思われるときもありますが、次のようなくだりを読むと、やっぱり作家の責任なのだろうと思われます。ある短篇の最後の一文ですが、「それから、鳥籠の扉を閉め、あとずさりし、そして待ち受けた」(98頁)とあります。この作品をさかのぼって読んでみても、何を待ち受けたのか不明のままです。
かつての短篇集『太陽の黄金の林檎』なんかこんな箇所は一切なくて、鮮烈な印象だけが残っているのですが、私の頭の中でこの作家に対するイメージが膨らみすぎたのでしょうか。
(吉田誠一訳早川書房2000円+税)
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