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2006年11月10日 (金)

若宮清『中国人の面の皮-彼らに脈々と流れる「厚黒」の思想』

 タイトルはどぎついですが、中身は説得力のある本です。電車の中で読んでいたら、乗り合わせた中国人留学生から「先生何の本を読んでいるの?『中国人の何の皮』」?と聞かれてちょっと焦りましたが、正直に中国人の悪口の本ですよと答えておきました。君たちとつきあうようになってから中国に関する本はどんな本でも読むようにしていると言うと、「先生は私のことは好きですか」と来るので、まじめに学校に来る学生は好きだと答えると安心したようです。自分が嫌われていなければ大丈夫という感じで、彼らは徹底した個人主義だという本書の主張と合っているように思います。
 留学生としてつきあう限りはあからさまな嘘も含めて、正直でわかりやすい人たちだと思いますが、大物になるとさすがに一筋縄ではいかない「厚黒」がいるようですね。毛沢東にしても胡錦涛にしても、なるほど一見して悪人には見えません。結局のところ、とんでもない競争社会だという点ではアメリカ人なんかとも共通しているメンタリティーがあるようにも思います。
 本書では中国の反日教育の内容も具体的に紹介されていて有益です。政治指導者たちの発言もしっかりフォローされていて、意外に実証的な内容で、勉強になります。中国が心の底では日本を恐れているというのも著者の指摘の通りだと思います。その意味で反日教育は彼らの潜在的恐怖心を煽る教育でもあるわけです。相手を恐れさせる外交政策は少なくとも日本の側からは必要ないという状況です。核なんか持たなくても恐れてくれているわけですから歓迎すべきなのかもしれません。
 日本の外務省批判も的を射ています。「外務省官僚のナイーブな見方の奥底には、きっと中国を見下す気持ちがある」(222頁)との指摘は鋭いと思います。(そもそもお役人には自分の省庁以外の人間を国籍のいかんにかかわらず見下す性癖があって、これが間違った政策の根源をなしていると思われます。)しかしそれだからこそ、今後も対中国お人好し外交はきっと続いていくことでしょう。
 外交レベルでは期待できませんが、おそらく仮に両国が互いに憎み合うようなことになるとしても、民間レベルの個別のつきあいにおいて手を取り合わざるを得ない関係が作られている限り、日中関係は何とかなっていくと思われます。本当は政治がこうした仕組みを作るべきなのでしょうが、現実には経済人たちが作っているようです。

(祥伝社2006年1600円+税)




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