ベルクソン『思想と動くもの』河野与一訳
ベルグソンは好きな哲学者の一人です。本書は河野与一訳を木田元が見直して、昔3分冊で売られていたのを一冊にまとめたものです。こうやってまとめられると、一冊として著者がまとめた意図も少しばかりうかがえるような気がします。
翻訳はかなり正確かつ忠実に訳出されている感じです。ただ、訳語がちょっと独特で、知性で意味が通りそうなところを悟性としたり、合理論が理性論になっていたりで、少々気になりました。きっと訳者には深い考えがあってのことでしょうが、ベルグソン本人はそんなに厳密に使い分けるような人でもないような気がします。
本書の論考の中では「哲学入門」が一番刺激的でした。時折実に鋭い指摘があって、ついつい欄外に自分が今考えている問題を書き込んだりしてしまいました。本書で今までよりもベルグソンが身近に感じられるようになりました。以前手に入れた坂田徳男訳の『時間と自由』も、これを機会に、読んでみようと思います。
(岩波文庫1998年800円+税)

