白鳥春彦『仏教「超」入門』
スッパニダータを読もうと思っているうちにどこかにやってしまいました。今探しています。それで、代わりといっては何ですが、たまたまこの本を見つけて読みました。実にわかりやすい好著でした。改行の多い文体は小室直樹みたいなところもありますが、小室氏のようなバナナの叩き売り的な感じではありません。著者の哲学やキリスト教の本もそうでしたが、とにかくわかりやすく明解に書こうとしています。この姿勢は見習いたいものです。
しかし、易しく書くためには、当たり前のことですが、何よりも本人がそのことをよくわかっていなければなりません。かつて1980年代のAA研系の連中は、外タレの本を先を争って読んでは曖昧な文章をひねり出して共感し合っていたようなところがありましたが、あれはきっと自分では何も考えてなかったのでしょう。今のわが国の現代思想業界はどうなんでしょうね。
著者はそんなやからとは無縁の人のようで、浮つかずにしっかり勉強してきたのでしょう。立派だと思います。啓蒙的な本ですが、時々どきっとすることが書いてあります。本書では次のくだりに共感しました。「真実がどこにもないのならば、わたしたちはいずれ狂気に至るか自殺するしかないのである」(45頁)というところです。やにさがった価値相対主義者でないところがいいですね。
(すばる舎2004年1500円+税)

