日下公人『名誉ある孤立の研究』
先日読んだ「ミドルパワー」とは対極的な、ユニークでスリリングな本です。1993年の本ですが、古くなっていません。第二次湾岸戦争を予見ないし危惧しているところもあって、当時の先見の明も光っています。旧ソ連の核兵器を買い取って、10年かけて原発で燃やしてしまうといった発想は著者ならではのものです。外交について著者の言いたかったことがしっかり詰まっている本です。さすがに長年んいわたって銀行マンとして渉外担当の現場に立ってきた人だけのことはあります。ソフトな物腰ですが、実によく機転が利き、論争に強そうです。
本書では、巡洋艦というものが、一面ではダンスパーティーを開くための船だったということを教わりました。イギリスでは、巡洋艦というのは、植民地向けにちょっとした小競り合いを見張る程度の武器を搭載するだけで、停泊地の王族などを招待して親善外交をするために開発されたのですね。学者の書いた本の何倍も面白くて、ためになる本です。
(PHP研究所1993年1,400円税込み)

