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2007年5月12日 (土)

ベルグソン『時間と自由』

 河出書房の世界の大思想シリーズです。古書店で投げ売り状態でしたが、今日入手しづらいものも含まれていて、重宝します。本書はベルグソンの『時間と自由』と『創造的進化』が一緒になっていてお買い得の100円でした。特にこの『時間と自由』が恩師中村雄二郎の訳文だったことが購入の決め手でしたが、案の定、読んでみると個人的には言い回しが懐かしかったりして、別の楽しみ方をしてしまいました。
 ベルグソン特有の、思考の経過とリズムがそのまま反映されたようなうねうねとした文体は、翻訳しにくいものだと思いますが、『道徳と宗教の二源泉』の翻訳と同様、いくつかの訳本の中でも最も優れたものの一つだと思います。ベルグソンの微妙な現実への透徹した感性と思考のリズムは中村先生のそれ波長が合っているのでしょう。そして同時に、こうした翻訳を通じて先生は栄養を吸収されたんだろうなとも感じました。
 また、本書は訳文だけでなく解説が秀逸で、ベルグソンにとっての「真の時間」とは「純粋持続」のことだということが明記されていて、理解の助けになります。本文にはこのことが必ずしもはっきり書かれているわけではないところに、こうしてスパッと指摘があると、解説を読んでもおトク感があります。さすがにかつて、ゼミ中に「翻訳をするなら解説を書かなければ意味がない」とおっしゃっていた先生だけのことはあります。
 というわけで、私としては二人の思想家のエッセンスを読んでいるような気がするという、個人的には実に面白い読書体験でした。『創造的進化』のほうは読み終えてから、また書くつもりです。

(中村雄二郎訳河出書房新社『世界の大思想31ベルグソン』所収昭和46年)

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