薬師院仁志『英語を学べばバカになる グローバル思考という妄想』
アメリカで英語を学んだだけのバカは大学なんかにもうじゃうじゃいて、珍しくありませんが、結局彼ら彼女らは、偏った知識しかなく、つまらないインテリというレベルですらない単なるアメリカかぶれにすぎません。インテリならまだ多少はものを知っています。もっとも、大学というところには、ほかにも多種多様なバカがたくさんいるため、英語バカはさほど目立たなくてすんでいるだけです。
しかし、この種のバカは大学の外にもたくさんいて、マスコミもまた「グローバリズム=英語(それもアメリカの英語)」という強迫観念に駆られて大騒ぎしているところです。そして、英語バカたちは、わが国の語学コンプレックスにつけ込みながら、いよいよ勢いを増しているように感じられます。NOVAが業界1位になっていたなんて、その証拠でしょう。
この種の英語バカたちは、アメリカ文化を世界標準だと信じて辺りを睥睨しているということも、本書ではしっかり指摘されていますが、深刻なのはそんな強迫観念に汚染されている今日のわが国の教育界で、小学校教育に英語を導入するというのも、やめときゃいいのにって感じです。
結局のところ、こうした試みは、成功してもアメリカかぶれの英語バカを拡大再生産するだけのことで、実際には英語は日本人にとって必ずしも易しい言葉ではないので、英語コンプレックスと英語嫌いを大量に生み出すことになるでしょう。本書では、そもそも英語は日本にいる限り必要ないということと、ひとたび必要になれば英語に限らず外国語は誰でも習得できるものだ、という重要な指摘がなされています。
本書の著者はフランスからの視点があって、新鮮な情報をもたらしてくれます。わが国にはヨーロッパからの正確な情報が伝えられることも多くないので、アメリカ=世界標準という通念はなかなか揺らぎませんが、本書はその点でも実に有益です。日本社会がいかにアメリカの影響を受けているかということも見えるようになります。
(光文社新書2005年720円+税)
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