鈴木正三著鈴木大拙校訂『驢鞍橋』
毎日の通勤電車の中で少しずつ読んで、ようやく読み終えることができました。正三の人となりが実によく現れています。やはり独特の禅者で思想家です。常に死と向き合って穏やかな気持ちでいられるような境地を求めているようですが、言葉で小難しく表現しようとは決してしなかった人なので、こうした言行録で本人が亡くなる際の様子までもがうかがわれると、なるほどという気がします。さすがに武士の出自です。潔い人生です。
ちなみに、正三は学者は嫌っていて、「誠に今迄學して、好人一人も不見、學した程の者は皆悪き也」(205頁)とあります。「どの賢人は何とし、此聖人は何と有と、人の上を取て、我鼻に上げたりとも何の用にも立べからず」(同頁)とあります。当時も今と変わらず、こんな輩が世間を徘徊していたのでしょう。お寺のようなところにも今の大学みたいに、この手合いがたくさんいたのでしょう。
鈴木大拙の解説も理解の助けになりますが、もう少し丁寧に校訂してくれていたら助かるのにと思いました。岩波の文学大系くらいだと読みやすいのですが。
しかし、名著です。
(岩波文庫1990年リクエスト復刊460円)

