米原万里『必笑小咄のテクニック』
秀逸な小咄が整理分類されて、テクニックが解説されています。練習問題もついていて、参考書みたいですが、なかなかいい本です。ただ、こうやってテクニックを磨いても、意外と現実には使えないんですよね、小咄というのは。欧米では昔から盛んですが、関西流の反射神経を要する当意即妙のボケとツッコミでないのは、私にはちょっとリズムが合いません。読むだけならいいんですが。
というわけなので、本書で私がスゴイと思ったのは、ロシア人の現実生活での次のような小咄的やりとりです。
「ねえママ、信号が赤のときでも道路渡ってもいいかなあ」
「もちろんいいに決まってるじゃないの。ただ、その場合は両手を挙げて渡るのよ」
「なんで?ドライバーに見えやすくするため?」
「ううん、死体安置所でシャツを脱がしやすくするためよ」(110-111頁)
ロシアでは街のあちこちでこういうやりとりが聞かれるとのことです。へぇーっ、ロシア人って、そんなに面白い人たちだったんですね。ロシア語を勉強してみようかという気になってきました。
(集英社新書2006年680円+税)

