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2008年5月 4日 (日)

養老孟司『唯脳論』

 著者の主張のエッセンスが詰まった本です。結局、人間およびその人間たちの集まった社会というものの不思議さは、脳の働きとしか言えないようなことばかりで、さらにその脳自体は結構単純な構造をした一種の臓器なのだから、唯脳論というのは還元主義とか科学主義というものでもありません。
 人間の不思議さに向き合うと、これしか言いようがなくなるというのが唯脳論なんですね。わからないものはわからないけれど、とりあえず脳のはたらきだ、ということです。
 構造と機能は別次元の問題で、構造から機能が出てこないからといって騒ぐ必要はないのは、心臓から「循環」を取り出すことができないのと同じだという指摘(30頁)は実にスッキリしています。むしろ著者は構造と機能とに分けて考える人間の脳の特徴自体に関心を寄せます。
 著者のいわゆる「脳化社会」という見方も本書が最初かと思われますが、現代文明というのはまさしく脳の指令通りの社会をつくってきたと言えます。脳自体が自らの身体性=自然を無視しながらここまで来たのですから、ときどきわが身の中の自然が暴れ出して困るわけです。

(ちくま学芸文庫880円+税)

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