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2008年5月28日 (水)

マッテオ・モッテルリーニ『経済は感情で動く―はじめての行動経済学』

 行動経済学の入門書として最適の一冊です。内容自体にはあまり新味はないのですが、これだけたくさんの設例、実験例が収録されている本は少なくとも邦訳書では他にないと思います。著者のこのサービス精神には脱帽です。例が多すぎてかえってそれぞれの印象が薄くなってしまうのが、あえていえば欠点かもしれません。
 ともかく、この実験例はしばしば社会科学系の授業の小ネタに使えるので重宝します。学生たちも喜んで取り組んでくれます。これを通じて、人間の非合理的な行動の不思議さ、面白さを見つめ直してくれればいいと思っています。
 著者は、人間が非合理的で「困ったことになるのは、私たちがものを知らないからではなくて、知らないのに知っているつもりでいるからだ」(314頁)と言っていますが、確かにその通りですね。会社の経営陣の判断の誤りなんかもほとんどこれでしょう。自分の限界を正直に認めることができない人は近くにもたくさんいます。それで、案の定馬鹿げた判断を懲りずに繰り返しています。やっぱ、天狗になっているのでしょうね。
 翻訳で気になったことを最後に述べておくと、ブラジルの著名なサッカー選手リバウドとロナウドがリバルドとロナルドという具合に表記されていますが、やはり前者の方が日本の読者には通りがいいのではないかと思います。

(泉典子訳紀伊國屋書店2008年1600円+税)

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