内田樹『街場のアメリカ論』
久々の更新です。自分が20年前に書いたハンガリー語の論文の翻訳がようやく終わったので、これからまたぼちぼち更新します。自分の論文の感想もそのうちアップします。一応ハンガリーでは著書扱いで大学図書館に入っていますので。
さて、本書ですが、著者の本の中でもベスト5に入ると思います。アメリカ論としても実に新鮮でした。ハリウッド映画やアメリカンコミックの精神分析は相変わらず見事です。確かにアメリカの大衆の欲望が読み取れるようですね。それにしても、映画は特によくフォローされていて感心させられます。
また、本書は精神分析的ですので、アメリカという鏡に映った日本の姿も浮き立つ仕組みになっています。それと、さまざまなエピソードが印象的で、フランスのヴィシー政権がインドシナ支配に関する情報を隠匿していたことや、イタリアのピエモンテ発のスローフード運動とファシズムの相似性、あるいは『創世記』にアブラハムが一人息子のイサクを生け贄にする際に「悩んだ形跡がないこと」などの指摘には教えられるところが多かったです。
(NTT出版2005年1600円+税)

