若林アキ『ホージンノススメ 特殊法人職員の優雅で怠惰な生活日誌』
いやー、すごい本です。特殊法人の実態がよーくわかります。公務員より縛りが少ないだけに想像以上の税金の無駄遣いが常態となっているようです。この手の法人に勤めたものの、あまりにもやることがないために辞めた人を二人知っていますが、どちらも実にまともな人です。しかし、やることがないだけでなく、内部で湯水のように公金を使いまくっていたとは知りませんでした。しかも、独立行政法人になって、看板を掛け替えただけでなく、かえってこれまで以上にひどくなっているようです。想像はしていましたが、これほど常軌を逸していたとは言葉を失います。
ただ、常日頃民間企業に天下ってきた元役人の仕事ぶり(サボりぶり)を見ていると、彼らは突然会社に来てサボり始めたのでないことがよく分かります。彼らにとってみれば、もう長年身体に染みついた立ち居振る舞いなのです。この連中はどことなく薄汚くゆるんだ顔になっているのを、本人だけが気がつかずに年をとっていくわけです。いい人生ではありませんね。
著者は文章力に恵まれている人なので、この実態を実に読みやすく、ユーモアを交えて(怒りも忘れずに)書いてくれています。この平安の宮廷文学に出てくる貴族たちのような生活は、何とこんなところに受け継がれていたのです。ただ、ここから高尚な文学が生まれるほどの優雅さや高貴さはおそらくないでしょう。
しかし、ひょっとして、この階級が世襲的に固定されて、もっともっと堕落し醜悪を窮めると、その中から蓮の花のように美しい文学が生まれてくるのかもしれません。平安時代ってそんなだったのかも。
とまあ、そんなことを考えてみても、やっぱり腹立たしいことに変わりはありません。平安時代のあとに武士の世の中がやってきたのも道理です。ま、武士もすぐ堕落するんですけどね。
(朝日新聞社2003年1300円+税)

