小幡績『すべての経済はバブルに通じる』
題名通りの本です。しかし、実にタイムリーな本でもあります。最近の株価の乱高下も本書の言うとおりに動いています。
バブルこそは資本主義経済の本質だと言われてみると、腑に落ちる点がたくさんあります。さらにそのバブルを見つけ出しては高値で売り抜けようとする金融資本が今日の世界経済の中心にいるわけですが、これを著者は「ネズミ講」と見ています。これはさらに元も子もない話ですが、「なーんだ、そうだったのか」と、私のような素人にはさらに腑に落ちるところがあります。
相当危険で回収不能な債権でも、証券化して金融商品として売り出せば、一見危険が薄められたように見えます。そこで大手のヘッジファンドなんかがどーんと買い占めたりすると、他の投資家も値上がりするに違いないと見込んで買うという流れができ、本当に値上がりし始めます。
元からバブルだということは誰もが意識しているのですが(この辺の説明もユニークです)、この流れは値下がりするまで止めようがありませんし、値下がりするのがいつかもわかりません。このときヘッジファンドも市場を支配することはできなくて、結局ババをつかまされたりすることが少なくないのは、バブルがはじけるのを予想できないのと、危険な証券だと思っても巨額の利益が出るので、お客から資金運用を任されている会社としては、載らないわけにはいかないからです。LTCMの破綻もなるほどそういうことだったのかと分かりました。これは確かにネズミ講です。
このあたりのメカニズムを著者は「リスクテイクバブル」と名付け、これを癌細胞のように自己増殖する「キャンサーキャピタリズム」の発現としてとらえています。また投資家の心理の動きについては著者自身も投資家でもあるため、実に説得力があります。
このキャンサーキャピタリズムが決定的に崩壊し、実体経済と禁輸資本との力関係が逆転すると、本来の姿に戻るはずです。それまでにどれくらいの混乱がもたらされるかはちょっと想像できませんが、結局モノづくりにこだわって、この波に乗り切れなかった日本経済は、今後も意外に痛手は少なくてすむのではないかという気にもさせられます。
もっとも著者はそんなことは言っていません。単なる私の希望的観測です。
(光文社新書2008年760円+税)
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