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2008年10月21日 (火)

日下公人『あと3年で、世界は江戸になる!』

 日下さんの本はいつ読んでも面白いです。何しろ見方がユニークで、あっさりとすごいことを言ってくれるので、驚かされ通しです。
 江戸時代というのは「内戦に無駄なコストを払う必要がなかったので、文化・風俗・経済が栄え、国民は豊かだった。政治も良かった。政治が悪かったように言うのは明治政府の宣伝である」(25頁)。といきなり言ってくれます。
 一般に日本史の人は日本国内のことしか頭にないので、内戦がなかったことには注目しませんし、「明治政府の宣伝」だということも、こんなにあっさりと指摘してくれる人はそうはいません。これにまんまと乗せられた上に、マルクス主義的史観で凝り固まった人が学者をやっていたのも、それほど遠い昔のことではありません。
 本書はそうした固定観念をやすやすと打ち払ってくれる爽快さに満ちています。
 たとえば、著者がマンガに惹かれる理由はマンガに次のような精神性があるからだと言います。

 「勤勉と創意工夫で何でも最高品質をつくる」
 「自分が努力する」
 「他人と協力する」
 「異文化を認めて共存する」
 「はかないものを愛する」
 「自由奔放に表現する」
 「宗教的規制はない」
 「イデオロギーには縛られない」

という具合で、もうこれだけで日本文化の粋だということがわかりますが、ここでも最後の二つの特徴を挙げるところが著者らしいところです。
 シャーロック・ホームズやブラウン神父ではありませんが、このように「ない」ところに気がつくのが大切で、日本も世界もよーく観察していないと、これはわからないところです。比較文化論の教材にもうってつけです。

(ビジネス社2007年1400円+税)

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