邱永漢『これであなたも中国通』
久々にQさんの本です。ふだん中国の学生を相手にしているので、中国関連の本には自然に目が行きます。著者は台湾出身ということもあり、中国人の思想や生活文化からの視点が公平に書かれていて参考になりました。
それにしても世界のお金が流れるところに目を付ける著者はさすがに「お金儲けの神様」と呼ばれるだけのことはあります。ただ、これだけ肩入れしていると、台湾独立の立場の人からは裏切り者と呼ばれるかもしれません。
それはともかく、やはり勉強になるのは中国人のものの見方です。とりわけなるほどそういうことかと思ったのは、支那という言葉についての考え方です。
著者はこれを「中国が帝国主義諸国の蚕食にあい、さんざ劣等感を味わわされた時代に使われた言葉なので、いまの中国人がそれをきくと差別用語にきこえてしまう。だから、学のあることを根拠にしてわざわざ中国人の嫌がる呼び方をするのは礼儀に反するから、やめるにこしたことはない」(111頁)と言います。この「学のあることを根拠にして」というのが新鮮な指摘でした。これもまたインテリの嫌な習性なのは確かですから。
また、何清漣『中国現代化の落とし穴』を「マルクス的な杓子定規の理論」として批判しているところも、そういわれてみればそうかもしれないと思わされます。なかなかの意趣返しです。Qさん畏るべし。
(光文社2004年1,200円+税)
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