野口悠紀雄『金融工学、こんなに面白い』
この分野はわが国ではどうやらかなり立ち後れているらしいですが、本書は格好の入門書です。
まず金融工学は株価の推移を予測して金儲けをする分野ではないことが強調されています。確かにノーベル経済学賞を受賞した人が関わるヘッジファンドのLTCMが破綻したりするくらいですから、錬金術のようなものではないことがわかります。
そのヘッジファンドは確率過程論や確率微分方程式などの高度な数学を駆使してお金儲けをしているというのも誤解だそうで、1990年代にはこの種の問題は初等数学だけで扱えるようになったとのことです。本書ではその実例が示されています。(でも、それでも数式を追うのは面倒くさくはあります。)
では、金融工学とは何をやっているのかというと、リスクをいかに捉え、いかに対処するかというリスク管理の手法を研究しているのだそうです。リスク管理ということなら、これはもうめちゃくちゃ大事なことですが、確かにわが国ではむしろこのことに対する無理解が社会の隅々に行き渡っているように思います。
専門的に勉強するのはなかなか骨の折れそうな分野ですが、わが国でも今後優秀な頭脳がこの分野に集まってくることを期待したいです。実際、私も多少かじってみようかという気もしているのですが、標準偏差でどうして数値を二乗するのかという点でつまずいているくらいですから、数学から勉強しなければなりません。
(文春新書平成12年690円+税)
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