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2008年12月13日 (土)

リチャード・フロリダ『クリエイティブ資本論』

 クリエイティブな都市は多種多様な人びとと文化を受け入れる場所であり、最近ではオタクが集まるようなところがやっぱり元気がいい街になっています。著者は、人間の創造性を支え、これを育むような環境をいろいろと分析していますが、センセーショナルに受け取られたのは、都市のイノベーション指数やハイテク指数とゲイ指数が密接に関係しており「ゲイ指数からハイテク産業の集中度だけでなく、その成長も予測できる」と述べている点です。
 もちろんこれは、「ゲイのコミュニティを歓迎する場所は他のどんな種類の人間も受け入れる」という意味の指標なのですが、アメリカでは一部で相当反感を買ったようです。しかし、これは日本だったら、クリエイティブでゲイの多い職場なんて珍しくないので、「あ、そう。うん確かに」って感じで当然のように受け入れてもらえる議論だと思います。
 面白いのは、親ゲイ的な街には安心だからという理由でクリエイティブな女性労働者も集まって来やすいという点で、いろんな効果があるんだなと感心させられました。 本書では大学もクリエイティブな人材を集める拠点となりうると書いてありましたが、うちの大学なんかも造形学部があるし、その可能性はありそうな気もします。ただ、クリエイティブな人材に優しい環境かどうかという点ではどうなのか。。。今度造形学部の先生に聞いてみましょう。
 なお、アメリカの都市のことは私はよく知りませんが、シアトルがクリエイティブ指数が高いというのを見て、イチローがあの弱小チームを離れない理由の一つがここにあるのかなという気がしました。もちろん勝手な推測ですが。
 それにしても最近のアメリカの不況を受けて、これらのクリエイティブな人たちはどうしているのかなという疑問がわきます。以前と変わらずクリエイティブで居続けられるようでしたら本物でしょうね。
 本書でも著者はこう言っています。
 「私は自分が育ったワーキング・クラスの地域で、これまでに出会った人々の中で最も賢く、最も熱心に働いている普通の労働者が、驚くべき才能とクリエイティビティの持ち主であるのを間近に見てきた。しかしまた、彼らの才能が既存の経済組織や社会構造によっていかに阻まれてきたかをも見てきた」(405頁)
 結局のところ、この手の才能をどう育てることができるかということが、鍵なのだと思います。大学も少しはがんばってくれませんかね。
 なお、翻訳は日本語として実に読みやすいものでしたが、一点、ファンとしてはアンドリュー・ロイド・ウェーバーではなくウェッバーと書いてほしかったと思います。
 それはともかく、最近のアメリカの経済学はいろいろと面白い本が出てきています。本書のような都市経済学をはじめ、行動経済学やヤバイ経済学などを踏まえた社会学のテキストを作ってみたいですね。

(井口典夫訳、ダイヤモンド社2008年2800円+税)  

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