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2008年12月 1日 (月)

西田幾多郎『続思索と体験「続思索と体験」以後』

 西田幾多郎のエッセー集です。最晩年のものまで含まれているため、彼の思索の歩みがよくわかる構成になっています。短い文章の中ですが、結構言いたいことを言っています。アウグスチヌスとデカルトの関係や、伊藤仁斎に対する評価などはたまたま私が感じていたことと同じだったこともあり、親近感がわきました。
 ただ、述語的世界観への問題提起は、気持ちはわかりますが、絶対無の弁証法的展開にまで行くと、著者は論理的には理解できない境地に入っているように思います。思うに論理はあまり好きなタイプではなかったのかも知れません。
 しかし、理屈はわからなくても気持ちがわかるというのもまた事実ではあり、それは次の言葉にうまく表現されています。
 「私は現実に我々がその中に生きて働いていると考えられる日常性の世界というものが、最も直截な具体的な世界であると思うのです」(288頁)
 この点に注目するところはさすがです。仁斎ともここでつながってくるのでしょう。思うに、この視点からこそわが国の独自の哲学・思想が出てくるのだろうと思います。
 今度は全集を繙いてみるつもりです。

(岩波文庫1980年450円)

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