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2009年1月24日 (土)

立川談春『赤めだか』

 いい本です。立川談志の家で買ってきた金魚がなかなか大きくならないので、「こいつは金魚じゃねえや、赤いめだかだ」というところから書名がとられています。もちろん金魚ではなくて、なかなか一人前にならない弟子たちと師匠の、可笑しいようなぞっとするような、そしてジーンとくる話が見事な文章で綴られています。いい話が満載です。そして、文章めちゃウマです。噺家だけにツボを心得ているのかもしれませんが、この描写力は作家顔負けです。
 談春といっても実は落語は聴いたことがないのですが、立川ボーイズの片割れと言われてみると、少し記憶に残っています。CDが出ているようなので、いずれ落語も聴いてみます。
 それにしても、芸能の世界の師弟関係はすごいですね。談志の場合はほとんど内弟子をとらないので、みんな何らかの形で糊口をしのぎながら師匠の世話をし、前座をつとめるというハードワークをこなしています。談春は高校中退で新聞配達をしながら入門し、魚河岸でも修行だということで1年働いたりしていました。
 談志が天才でかなりの変人だということもわかりますが、その師匠に惹かれて入門する弟子たちも相当なものです。兄弟子も弟弟子たちの変人ぶりも活写されています。そして、そこにはしっかり愛が存在しています。こうした師弟関係は今後の日本からはどんどんなくなっていくことでしょうから、そう遠くない将来に本書は民俗学的資料としての価値も持つことになるかもしれません。
 それはともかく、本書がよく売れているのも当然という気がします。帯に高田文夫が「直木賞でももらっとけ」という彼らしい言葉を寄せていますが、本当にそう思います。

(扶桑社2008年1333円+税)

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