長谷川慶太郎『それでも、「平成恐慌」はありません。―これが、世界経済再生のシナリオ』
デフレ基調の世界経済で生じたアメリカの金融破綻は、確かに世界中に影響を及ぼしていますが、そこから抜け出すには公共事業投資しかなく、そうなってくると、技術力では世界的に圧倒的優位に立っているわが国には、工作機械を中心に世界中から発注が相次ぎ、一人勝ちするだろうという話です。
わかりやすく明るい話です。こんなに希望に満ちていていいのだろうかというくらい良いことが書かれています。とりわけ先端技術の情報に関しては、著者自らが現場に足を運んで書かれているだけに、有象無象のお茶の間エコノミストとは違って、独特の説得力があります。御年82歳でもまだまだ現場を取材する気力と体力が衰えていないことには驚かされます。
本書で特にはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という、企業の債務不履行を対象にした怪しい保険について、簡にして要を得た説明がなされていて勉強になりました。これに手を出している金融機関が全部やられてしまったのが今回の金融破綻なのだそうで、著者はこれをサブプライム・ローンよりも深刻な原因とみています。
また、アイスランドやハンガリーの通貨危機についてもわかりやすく説明されていたのに感心させられましたが、ハンガリーの通貨が「フロリン」と記されている(71頁)のは「フォリントForint」の誤りです。著者にしては珍しいことですが、外国の知人から聞いた音をそのまま表記したのではないかと思われます。
マスコミの報道だけを見ていて気が滅入る人には、元気と勇気を与えてくれる本だと思います。
(ワック株式会社2009年838円+税)
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