友枝敏雄・山田真茂留[編]『Do! ソシオロジー 現代日本を社会学で診る』
通信教育で担当している者科学の教科書が絶版になってしまったので、新たな教科書を探しているところです。いろいろと目を通している中では、値段も手頃で設題もついているので、本書にしようかなと思っているところです。
学説史的記述はなく、現代日本社会のタイムリーな社会学的諸問題が検討されています。現実の社会問題を自分で考えることが社会学だという主張はもっともですし、諸学者にも取っつきやすいのではないかと思いますが、「自分で考えてみましょう」という設題に対して提出されてくる学生の答案の出来を考えると、いささかぞっとしないでもありません。
箸にも棒にもかからないような答案を添削するのは大変なので、問題はアレンジするつもりですが、教科書を写せばいいような問題にすると、今度は死ぬほど退屈な作業になります。通信教育の担当者に共通する悩みです。しかし、年に数枚は実に良くできた答案も読むことができるので、それはそれで実に楽しみでもあります。この本ではどんな答案が返ってくるでしょうか。
本書のほかにも社会学の教科書をざっと見てみたのですが、不思議なことに、複雑系やカオス、あるいはネットワーク科学の成果を取り入れたものがほとんどありません。社会心理学や行動経済学とも交流がないようで、ましてやレヴィットの『ヤバい経済学』やヴェンカティッシュの『ヤバい社会学』もちっとも出てこないのは、あれだけアメリカに留学している人が多いのに、どうしたことでしょう。
社会学もいつの間にか旧態依然とした社会学の固定観念の枠組みにとらわれてしまったのでしょうか、もうちょっと他の分野の学問的成果を活かすようなところがあってもいいと思います。もっとも、ポストモダンの思想なんかは結構触れている著者がいますので、全体にもう少し時間がかかるのかもしれません。
(有斐閣アルマ2007年1,800円+税)
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