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2009年5月12日 (火)

土屋賢二『ソクラテスの口説き方』

 いつもながらこの毒にも薬にもならないけれども抱腹絶倒のエッセーは、すごいなと思います。この芸は誰にも真似できないのではないでしょうか。そういえば、上杉清文の文章がちょっと近いかもしれませんが、味わいは異なります。最近最近上杉さんの本からは遠ざかっていますが、読みたくなってきました。また調べてみます。
 さて、本書ですが、ときどき哲学的にすごい展開になるのかと思わせられるところがありますが、次の行ではそれがまったくの杞憂だったことに気がつかされます。でも、ひょっとしたら本当に専門的にもすごい人なんじゃないかという気もするので(確か野矢茂樹がそんなことを論理トレーニングか何かの本の後書きに書いていたような記憶があります)、いつかは勁草書房から出ている専門書の方も読んでみたいと思いながら、まだ手に入れていません。このエッセーシリーズを読んでしまってからでも遅くはないでしょう。
 それにしても、著者は実際哲学の中の何が専門なんでしょうね。ウィトゲンシュタインとかの論理哲学でしょうか。あのあまり面白くない日常言語学派なんかをこんな冗談に変換しながら読んでいたのだとしたら、やっぱりすごい才能です。ベルグソンに『笑い』という本がありますが、別にあれを読んで笑えるというものではありません。その点では、笑いを論じるよりも著者のように笑いを作り出せるほうが、哲学などどうでもよい読者にとっては、はるかにすばらしいことだと思います。

(文春文庫2003年467円+税)

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