土屋賢二『汝みずからを笑え』
著者の哲学書をいつかは読もうと思いながら、結局のまんまにしていますが、ユーモアエッセーの方は古本屋で見つけるとすぐに買って読んでしまいます。それで、相変わらず著者が本業の哲学者としてどんな人なのかということは不明のままで、この毒にも薬にもならないけれども優れた笑いの本を楽しんでいます。
この書いている著者自身もヘンだということを気づかせて笑いをとるという高度なギャグは、ひょっとしたらイギリスの文学に出てくるようなセンスなのかなという気もします。たとえばジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』(中公文庫)なんかに出てくるあれです。著者にもエッセーでなくて想像力をとんでもなく飛躍させた冒険譚を書いてもらうと、これまた面白いかもしれません。
もちろん、いつもながらの味わいは健在です。電車の中で読んで思わず笑い出すと、周囲から怪しまれるので、読むには時と場所を選ぶ必要があります。著者のエッセーは無性に読みたくなるときがあります。内容については特に書くことはないので、この欄にも何を書こうかと迷ってしまいますが、また読んでしまったと公開するわけではありません。ともかく、こんなに冗談ばかり書けるというのも、やはりすごい才能だと思います。
(文春文庫2003年476円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント