友枝敏雄・山田真茂留編『Do! ソシオロジー』
初学者のための社会学入門書です。現代の社会問題に対する社会学的なものの見方を易しく具体的に述べた本です。教養科目の社会学の教科書として編まれた本のようです。
ジェンダーやネオリベラリズム、グローバリズムやリスク社会論にもにもそれぞれ一章ずつ割かれていて、執筆者たちの今日的な問題意識が色濃く反映されています。記述が具体的なだけに政治色から無縁ではいられなくなるのですが、思想的にはリベラルで心情左翼的な人が多いようです。まあ、大学の先生に多いタイプですから、よほど保守的な人でなければ、あまり気にはならない程度です。
各章に考察課題が二題ずつ付いていて、教科書としても使いやすいかもしれません。値段も手頃ですし、採用候補にいてれておきましょう。
ただ、以前にもほかの最近の教科書を読んで感じたことなので、社会学会全体の傾向なのかもしれませんが、複雑系やカオス、行動経済学やネットワーク理論あるいは『ヤバい経済学』や『ヤバい社会学』のような各分野の最先端の問題意識がほとんど反映されていないのは気になります。せいぜい参考図書の欄で社会心理学者山岸俊男の『安心社会から信頼社会へ』(中公新書1999年)が挙げられているくらいです。これでも著者の見解が変化した『社会的ジレンマ』(PHP新書2000年)のほうが適切だと思います。
本当なら何でもありのような社会学という分野も、こうしてみると思いのほか知的に閉鎖的な気がしますが、何か業界のお約束事でもあるのでしょうか。まさか斯界では一流とされる著者たちが揃いも揃って不勉強というわけではないでしょうし。
いずれにしても、わが国にも社会科学全般にわたって幅広く関心を持っている読書人は少なからずいるはずですが、この業界が頑ななままだと、そういう人びとの関心はいずれ引きつけなくなると思います。
(有斐閣2007年1,800円+税)
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