西澤晃彦・渋谷望『社会学をつかむ』
本書の「はしがき」で著者が、有斐閣が入門書を著者二人に任せるというのは冒険で、10年前にはありえない人選だったろうと述べているのは、読んでいくとよく分かります。両著者とも本だけではなく映画などのサブカルチャーまでも丹念にフォローしていて、現代社会の現象にとにかく常に興味津々という感じが伝わってくるからです。
各章でいろんな議論が丹念に紹介されていて、社会学者というのが、結構どうでもいいようなことを難しそうに議論していることも分かります。これはもちろん私の読み方に問題があるためでしょう。
ところで、ある編集者から聞いた話では、上野千鶴子のような人は学会の仕事は「業界のお仕事」と呼んで小馬鹿にしていたとのことですが、その本人の業界向けのお仕事も簡単にまとめて紹介してあって、え、そんなんでいいのという感じがしました。ま、お仕事なんだからそんなものかもしれません。
著者たちはべつに悪意があるわけではなく、正確にまとめて紹介してくれているのですが、岩波・朝日系の著者たちの進歩的議論にしばしばついて行けない私としては、それがバカさを際立たせるために紹介されているのではないかとつい思ってしまうときがあります。
おそらくそんなことはなくて、著者たちはいたって真面目に大家の先生方の理論を紹介しているのだと思います。著者たちは多少ピンクがかっているくらいで、大学の先生としては標準的なイデオロギーだと思います。要はこちらのものの見方が歪んでいるわけです。
これではちゃんとした判断ができそうにありませんが、冷静に見て本書は社会学の入門書としては実によくできた好著だと思います。ネットワーク理論もフォローされていて、主流派の先生方世よもはるかに守備範囲が広いと感じます。マニアックなところは気に入っています。社会学を履修する学生には読んでもらいたい本の一つです。
(有斐閣2008年2300円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント