三宅久之『政権力 一国のリーダーたる器とは』
テレビでは毒舌でおなじみの三宅さんですが、さすがに元新聞記者だけあって、文章は明快でバランスのとれた記述です。もちろん彼らしく言いたいことは言っていますが、番組でのイメージとはずいぶん違います。政権交代が実現しそうな昨今の情勢の中で、実にタイムリーな出版だと思います。
戦後の吉田内閣から政治記者として様々な政治家とつきあってきただけあって、本人しか書けないような生々しい情報も多々盛り込まれています。その中でも田中角栄の斬新な発想と行動力は、歴代首相の中でも群を抜いていたことが分かります。
本書は戦後政治家列伝にもなっていますが、自分が物心ついたときのあの政治家はこんなんだったかと改めて教えられることが多く、いろいろと興味深いものがあります。昔1987年から90年にかけてときの政治状況についてもそうです。私の記憶には竹下首相が交代したり、小渕さんが出てきたりというところがすっぽり抜けているので、記憶のリハビリみたいな感じです。
そういえば、当時3年ぶりに日本のテレビを見たら、中高年の芸能人がみんな少しずつ老けていてぎょっとしたことを覚えています。何だか久しぶりの同窓会みたいです。同窓会と同じで、これもしばらくすると慣れてしまいましたが、無敵だった阪神タイガースが最下位を低迷するようになっていたのはもっと不思議な感じでした。きょうびまたそんな感じになりつつありますが。
それにしてもはたして政権交代はなるのでしょうか。一番戦々恐々としているのは官僚かもしれませんが、意外に高をくくっているのかもしれません。政治家を操縦する手練手管をもってすると、当選2~3回程度の政治家ではとうてい太刀打ちできないそうです。
こうした戦後政治の官僚支配が定着したのは吉田内閣が長期政権を維持し、当時の古参政治家たちに政権を返さなかったことがきっかけになっているということも、本書ではうまく描かれていました。
さて、今度はどうなんでしょう。
(青春出版社2009年770円+税)
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