玉野和志編『ブリッジブック社会学』
今日の社会学の入門書のほとんどが現実の問題を社会学的に考えるというスタイルをとっていますが、では大学に入って講義を聴いてみると、実は西洋の社会学理論にしょっちゅう言及しながら話が進められていくことに気づかされます。
なーんだ、それならやはり学説史的理解は欠かせないだろうということで、入門書のスタイルでコンパクトな学説史が試みられているのが本書です。でも、とおりいっぺんのまとめ方ではなくて、マルクスによりもたらされた理論的刺激により、ウェーバー、デュルケーム、ジンメルのそれぞれの展開が柱になっている学説史的系譜がわかりやすく語られています。社会学の発想はこの御三家に尽きるとまで言い切っているところがすばらしい。
かといって、その後の社会学者たちの仕事も丹念にフォローされて、その理解の仕方も要領を得ています。フーコーの議論の現実政治における意味もしっかりと指摘されていました。今までほとんど読んだことのなかったブルデューやギデンスの仕事についてはいろいろと教えられました。
5人の著者による共著ですが、文体にも内容にもばらつきがなく、一人の著者が書いたかと思われるくらい読みやすくできています。相当念入りに編集作業が行なわれたのではないかと思います。また、章ごとの読書案内も初学者にとって実に有益です。
いい本なので通信教育部における社会学のテキストに指定したいのですが、ちょっと値段が高いのが難点です。1500円~1600円くらいだといいのですが。
(信山社2008年2300円税別)
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