新明正道『社会学史概説』
岩波全書セレクションとして復刻された本ですが、初版は1954年です。今でも学説史のスタンダードとして読まれ続けているだけのことはあります。英米仏独だけではなく、イタリアやロシアの社会学説史まで視野に入っていて、その文献処理能力は並外れています。各国語文献の速読ができたのでなければ、ものすごい勤勉さで毎日朝から晩まで研究されていたのだろうと思います。
こういう業績があってはじめて、先日読んだ『ブリッジブック』のような好著も出てこられるのでしょう。私立大学通信教育協会編の通信教育用テキスト『社会学』などは、学説史的記述に関してはほとんどそのまま引き写しているようなところがあります。そうでないところは文章がヘンだったりして、かなりのポンコツぶりですが、幸いにして品切れ絶版になってしまいました。それにしても、巻末に執筆者が本書を参考にしたとは断ってあっても、ちょっとヤバかったのではないでしょうか。
もっとも、その代わりに来年のテキストを選定しなければならなくなったのですから、科目担当者としては大変ですが、学生にとっては木で鼻をくくったような解説の本がなくなって、幸せなことです。いい本を選びたいと思います。
とはいえ本書は値段が張りすぎて、残念ながら候補からは除外せざるをえません。
(岩波書店2007年2800円+税)
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