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2009年7月 7日 (火)

勝間和代『起きていることはすべて正しい』

 このタイトル、いいですね。新聞の連載記事で同じ言葉を著者が座右の銘としていることを知り、思わずつられて買ってしまいました。この点ですでに著者の術中に見事にはまっていたのかもしれませんが、この言葉、確かにその通りだと思います。自分だけがいつも正しくて、周囲はみんな間違っているという人は、たいてい独善的なだけで、そのことが原因で周囲からますます孤立するという悪循環に陥っているからです。
 本書を読むと、売れっ子には売れっ子になるだけの理由があることがよくわかります。実に積極的な人で、自分を売り込むだけではなく、周囲の人に多くのものを出し惜しみせずに分け与えることにも熱心なのです。これがまた好循環をもたらし、いろいろな優れた人びととの新たなコラボレーションを生み出すという仕組みです。
 本書の書き方も懇切丁寧に必要かつ有益な思考法や道具立てを紹介するということが徹底されていて感心させられました。巻末には参考文献リストや本人の用語集まで整理して掲載されています。ふつうならここまで手の内を明かさないというくらいのことまで書かれています。もっとも、この手の内を知ったところで、とんでもない努力が伴わないとうまくいきませんが。
 実際、本人は21歳で母親となり、正社員からパートに左遷されたり、子どもの耳鼻科通いでクビになりかけたり、本人がワーカホリックでメニエール病になったりと、もう大変な苦労をされているわけですが、これをすべてプラスに変えてきたというのですから、本当に頭が下がります。
 印象的だったのは、結婚や出産によって経験値が上がり、人間的な器が広がるということが説かれていることで、「仕事と家庭と両方あると、また別種の経験が広がるため、新しい気づきやメンタル筋力が生まれやすくなります」(51-52頁)と言っている箇所です。慧眼です。3人の子を持つシングルマザーでありながら、ここまで言い切れるところがすばらしい。
 また、具体的には仏教の「三毒」を追放するということで、「妬まない、怒らない、愚痴いらない」という心がけです。怒らないというのは私にとっては一番難しいところですが、これも最近加齢のためかずいぶん怒らなくなってきた気もします。
 いずれにしてもこのモットーは早速自分のものとして実行したいと思います。実際、妬んで怒って愚痴ってばかりなんてサイテーですもんね。このところ多くの人から有形無形の手助けをいただいて、本当に助かっています(ところで、昨日のヴィシュキ・アンドラーシュ氏講演会でご協力いただいた皆さん、ありがとうござました)が、これを意識的にモットーにすることで、さらにいいことが起きそうな気がします。
 また、このこととも関係しますが、一人だけの力では成し遂げられないことであっても、周囲の人びとの助けがあればできることがたくさんあります。そのためには、いかにして自分の応援団を作るかということが鍵となるのですが、これを著者は「Giveの5乗」という表現を用いています。つまり「自分ができることについては、なるべく多くの人に対して知恵なり、人脈なり、考え方なりを供給することを推奨しています」(316頁)ということなのです。
 5乗というのはすごいですね。私は2乗はおろか倍返しもできていない気がします。これも是非見習いたいと思います。といっても、私にはベストセラーを書く才能はないと思いますが、それでも自分なりの成功体験が増えることだけは容易に予想されます。
 また、著者は月に50冊から100冊の本を読んでいるとありますが、これも見習いたいところです。読書時間が毎日2時間キープできればこの数字は可能ですが、ただ、書籍代も月10万円から15万円ということで、これはちょっと真似のできないところです。私の場合は読む本がなくなってきたら「Book Off」ということにしています。
 いずれにしても今の状況を何とか打破する方法を考えながら自己研鑽に励むしかなさそうです。それにしても本当に勇気づけられる本です。

(ダイヤモンド社2008年1500円+税)

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