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2009年8月25日 (火)

日下公人・武田邦彦『つくられた「環境問題」 NHKの環境報道に騙されるな!』

 わが国は1990年にはすでにほとんどの環境問題は解決していて、実際にその頃には公害病の新規認定患者がいなくなっていたそうです。なるほどそういわれてみれば、当時は確かにそうした言葉をとんと聞かなくなっていました。
 武田氏によれば、生産力拡大によって出た利益を環境整備に投資できるようになり、これに技術革新が加わってなされたことだそうです。節約や規制といったことではなかったというのも面白いことです。役所はむしろ新たな環境問題をつくり出すことで、利権の拡大を狙っていたようです。
 日下氏の発言で初めて知ったことは、1972年のストックホルムでの国連環境会議で、当時ベトナム戦争で枯れ葉剤を使用していたアメリカが、国際的な非難をかわすために日本の捕鯨問題を打ち出したという事実です。会議開催の前夜にアメリカは鯨の大きな模型をつくってきて、会場周辺で「日本人はクジラを食う」と宣伝し、ストックホルムの街中をクジラだらけにしてしまった(32頁)そうです。クジラの問題にもこんなウラがあったんですね。
 とりわけ武田氏の議論は、今日の環境保護団体からはまるで蛇蝎のように嫌われていますが、南極の気温が地球温暖化を取りざたされる今日でもまったく変わっていない(どころか多少寒冷化している)という点と、南極の氷の量も変わっていないという点については、事実として認めなければいけないでしょう。実際、NASAやIPCC、WMO(世界気象機関)やUNEP(国連環境計画)が一致して認めていることですから。
 これを認めない筆頭がNHKでIPCCの報告書に書かれていることも無視して、南極の氷が溶ける扇情的な映像を繰り返して流しています。でも南極の周辺部ではいつも氷が溶けているのです。仮に温暖化したら水蒸気の量が増えて、それは南極ではすべて雪として降ってくるので、実は温暖化すると南極の氷は増えるとはIPCCですら渋々認めていることなのだそうです。
 たぶんNHKではエライさんの思い込みを正せる人が局内には存在しないのです。昔ナベツネの親友だったエビジョンイルなんて人がいましたが、今もそんな感じの人が各部署で幅をきかしているのでしょう。一党独裁体制みたいですね。
 まあ、元々NHKに限らずマスコミというのはインチキ体質なのでしょうが、いくらなんでもこれは事実がはっきりしていることなのに、保身に走りすぎでしょう。役人や御用学者じゃあるまいし、侠気のある人物はいないのでしょうか。学校秀才ばかりを採用するからこんなことになるんじゃないですか。

(ワック株式会社2009年857円+税)

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