岩下壮一『カトリックの信仰』
15年ぶりのハンガリーはいろいろと面白かったです。その変化には驚かされることがたくさんありましたが、ハンガリー人のハンガリーらしさは健在でした。それぞれの場所で懸命に生きている友人たちにはいろいろと勇気づけられました。国は違っても同じような問題意識を持ってがんばっている友人たちは、15年後の自分の姿かもしれません。少なくともそうあるように努力しなきゃ。感謝です。
さて、本書は日本から持ってきた本ですが、900ページ以上ある文庫本で、ちょっと旅行に持って来るには重たかったです。しかし、日本語の本の少ない環境でしか読めないと思って持ってきたのは正解でした。
本書の理論的記述には見事な説得力があり、その語り口はどこか日本人離れしています。私が言うのはおこがましいですが、とんでもなく頭のいい人だったのだろうと思います。プロテスタントあるいは無教会批判も舌鋒鋭く、きわめて熱い人でもあったということがわかります。カトリックの良質の部分が凝縮されたような本です。私のような不逞の輩でも『公教要理』をしっかり読まなければという気にさせられます。やはりヨーロッパ理解の鍵ですからね。
私の大学院時代の恩師のT先生は、著者のゼミに出たことがあり、後光がさしていたと仰っていました。きっと信仰と知性が一体となって輝いていたのだと思います。そんな人はおそらく世界的にも稀有な存在だと思いますが、きっと、わかる人にはわかったのでしょうね。
(講談社学術文庫1994年2000円)
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