日下公人・高山正之『アメリカはどれほどひどい国か』
タイトル通りの本ですが、他では読めない話がたくさん書かれています。
高山氏の情報は教科書では絶対にお目にかかれないもので、いつ読んでも驚かされます。よくもまあこれだけ調べ上げたなと感心させられます。昔の日本人は欧米の奴隷制を心から侮蔑していたのに、今では「昔の日本人が持っていた素朴で迷いない批評眼」(高山氏)を失ったようです。特に親米保守のインテリはそうで、つねに両者の言論を苦々しく思っていることでしょう。へーっと思わされたことをいくつか列挙してみます。
・独立宣言の起草者ジェファーソンはサリー・ヘミングという黒人奴隷を所有し、子を孕ませている。その口で「人は等しく創られた」とはよく言ったものだ。
・10年ほど前のダボス会議でアメリカ通商代表のミッキー・カンターは酔っぱらって二階から落ちて翌日の会議を休んだことがある。サミットではサルコジ大統領も酔っぱらった前科があり、エリツィンなんかは泥酔の常習犯だったが、日本の報道陣は報道しない。他方で、中川昭一は会議にはちゃんと出ていましたが、泥酔記者会見のために袋だたきに遭い、今回は落選までしちゃいました。
・リンカーンは奴隷廃止宣言と同じ頃にダコタ族の討伐命令を出し、処刑まで命じている。
・田母神空幕長が解任されたのは守屋次官の後任の増田好平次官に楯突いて報復されたため。わが国の官僚の陰湿さはその道の伝統のある中国にも決して負けていない。
といった感じです。
また、日下氏の「日本は孤立しても困らない」という議論は説得力があります。しかし、この栄光ある孤立の道を選ぶことのできるような甲斐性のある政治家は、何度政権交代しても、なかなか出てきそうにありません。
(PHP研究所2009年952円税別)
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