渡部武達・松井茂記責任編集『叢書 現代のメディアとジャーナリズム 第3巻 メディアの法理と社会的責任』
本書もお仕事で読みましたが、これはヘンな意味で面白いところがありました。だいたいのところこのシリーズの著者たちは政治的スタンスとしては進歩派ないしは左翼的立場を取る人が多いのですが、この巻は「法理」というだけあって、法律の専門家が書いているところがあります。特に第一部がそうなのですが、これが、純粋な知識人の良心の発露と著者たちが考えて書いているところに水を差すことになっているからです。
つまり、法律家というのは利益考量的判断を常にするわけですが、これが戦闘的フェミニズムのヤクザのような論調と対立するわけです。編者でもある松井茂記とそのほかの法律家は要するにバランスのとれた、あーでもない、こーでもない議論を展開しながら、冷水をかけまくっていて、おそらくこの間のほかの著者たちは本が出来た後から苦々しく思っているのではないかと思われます。
また、ジャーナリスト崩れで大学に職を得た教授陣は、一般に世におもねる行動パターンがほとんど本能的に染みついていますので、やっぱり法律家たちとは相性がよろしくないだろうと思われます。
個人的にはかつて元羽織ゴロの教授というのを知っていましたが、これがとんでもない食わせ物でした。唯一の著書というのは鼎談の新聞記事をまとめたもので、文章力はないわ、当然論文なんかまともなものは書けないわで、話題は記者時代の自慢話でなければ、お金とシモネタばかりで、結局学生へのセクハラで退職させられました。
羽織ゴロというのはまた、よく人にたかる体質で、只飯只酒にあずかることに慣れているばかりか、相手かまわずねだるんですね。出版社や旅行会社に食わせろ飲ませろって本当に言うのだから驚きます。その昔は入社しても給料はもらえない代わりに、新聞社の名刺をもらって、これで飲み食いしろと言われていたそうですから、ごろつきと言われても仕方ないわけです。そして、その伝統は今も脈々と流れています。
もっとも、これが賤業だという意識でいるならいいのですが、エリート然として威張っているのだから始末が悪いのです。若くて優秀な記者にも知り合いがいますが、この業界はひどいのはとことんひどいので、そんな連中の持っている空気にだけは染まってほしくないと願っています。
(ミネルヴァ書房2004年3,500円+税)
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