津金澤聡廣・佐藤卓己『叢書 現代のメディアとジャーナリズム 第6巻 広報・広告・プロパガンダ』
これもお仕事の本ですが、書いている人もお仕事で書いているので、体裁が先行して内容は薄くなっています。通り一遍のことは書かれていますが、材料をあえて広く薄く料理している感じです。2003年の本なので、政権交代が起こった今、明らかに古くなっています。
政権交代が起こったことでメディアの狡さとばかばかしさが浮き彫りになっている今日の状況を、著者たちが真剣に考えているのでしたら、さっさとこのシリーズは絶版にして、もう少し違った編集の論集を考えても良さそうです。
もっとも、シリーズ全体が完結したばかりですからそうもいかないのでしょう。大学の先生たちは業績に「著書」と書けますしね。
それはともかく、実際、今まで利権談合体質にどっぷりとつかっていたのは自民党政権だけではなくて、それを支えるメディアも同様でした。記者発表をすりあわせて作った記事は政権与党の背後にいる官僚に見事にコントロールされてきたのですから、今一番慌てている業界がこの業界なのかもしれません。あるいは体質改善が出来ずに沈みつつあることすら気がつかない連中が、相変わらず同様の記事を垂れ流していることもままあります。
このあたりの鈍感さは大学人も同じで、そのどんくさいメディアを研究材料にして論文らしきものをでっち上げながら、重要な社会の動きには全く気づかず、何より人の心がわかっていません。つぶれるときはどちらもあるとき一気に来ると思いますが、どうでしょう。
普通の常識人はよくわかっているんですけど、王様は裸だという状況は、やっぱり王様本人は気がつかないのでしょう。
(ミネルヴァ書房2003年3,500円+税)
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