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2009年12月22日 (火)

奥田英朗『ガール』

 30代半ばのOLが主人公の短編集です。どの短編もしっかり構成されていて、読後感が爽やかでおすすめです。個人的には、時々いい小説を読まないと何だか心に潤いがなくなる気がするのですが、本書は実にいい潤いとカタルシスをもたらせてくれます。
 それにしても、人びとの生態が実によく観察され、ファッション情報も見事に収集されていて驚きです。手で口を隠しながらけらけらと笑う若いOLに対して「こっちなんか、いつの間にか、笑うときは手をたたくようになってしまったものなあ。ひどいときは足まで踏みならす」という独白が実にリアリティーがあります。どうやって取材したのでしょうね。
 OLの生態はもちろんですが、そのOLたちの目から見た男性陣の格好悪さもしっかり描かれていて、その説得力には舌を巻きます。また、職場に好男子の新入社員が入ってきたときの女性たちのざわめき方と恋のさや当てのすさまじさも勉強になります。って何の勉強だか。そう、人間の愚かさについての勉強です。
 本書に対する女性の読者の反響が大きく、共感がたくさん寄せられているのも納得がいきます。でも、だからこそ男性陣にも読んでもらったほうがいいでしょうね。ここに出てくる愚かなタイプの男性はそこらじゅうにうようよしているからです。少しは自分の鏡にしないといつまでたっても賢くなれないでしょうから。と、自戒を込めて思っている次第です。

(講談社文庫2009年552円税別)

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