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2009年12月17日 (木)

武田邦彦『偽善エネルギー』

 新刊です。著者の別の本『偽善エコロジー』と版元も装丁も同じなので、あやうく間違いそうになりました。間違って買わないか、あるいは同じ本を二冊買ってしまうかのどちらかでしょうけれど、どちらでもなくてよかったです。
 本書では次世代エネルギーのインチキがしっかり指摘されています。政府が補助金を出してくれるからと信じてババをつかまないようにしなくては。著者の他の本と同様に「へぇーそうだったの」という話題が満載です。
 著者によれば石油は消費量と新たに発見される油田の量から考えてあと30年くらいで確実に不足するとのことです。ということは、近い将来石油は不足し、今の10倍くらいに値段が上がることが予測されます。
 それで、石油がなくなると、医薬品や冷蔵庫の冷媒が作れないので、「しばらくは病人は薬をもらえず、冷蔵庫は冷えなくなる」(153頁)と考えるのが現実的だということです。たとえば電気だけでは薬はできませんからね。しかし、オイルサンドや石炭などの、石油の代わりになる資源の利用技術を進めておけば慌てなくてすむとも述べています。
 電力に関しては原子力発電で、耐震性と人災をクリアすれば大丈夫とのことで、これは大丈夫という話です。要は人びとが技術革新をどんどんやっていけるような社会風土と人材を育成することが大切だという主張です。つまり、決して悲観的ではなく、冷静に明るい未来の到来を示唆する本です。
 この流れの中では「エコ」は全く意味がないという結論にもなります。そうだろうなと思いますが、政府もマスコミもすべてが一色に染まっている現状では、本当に反時代的な本であるとも言えます。しかし、客観的・科学的データに基づいて理論的に考えるなら、本書の結論は妥当なのだろうと思います。
 NHKなんかは実に偏った報道をしていることがよくわかります。IPCCなどの報告を完全に無視しつつ、南極は温暖化して氷が減っているとか、海水面がすでに1.5メートルも上昇したとか(本当は7センチ上昇、ツバル気象庁は15センチ下がった)、ガセ情報を流しまくっています。
 笑っちゃうのは京都議定書の基準年である1990年以来、NHK自身が80%も二酸化炭素の排出量を増やしたということです(135頁)。

 NHKの職員にもインテリはたくさんいるので、IPCCの報告書を読んだりしている人は少なくないと思いますが、きっと大幹部にエコ推進者がいて逆らえないのかなという気もします。
 ニュース解説の人たちならこれくらいのことは当然知っているはずなんですけどね。せめて両論併記ぐらいのことは提案してみたらどうでしょうか。おそらく自身の保身と出世が第一なのでしょうけれど、役所や大学なんかとは違うのだから、少しは骨のある報道人がいてもいいじゃないでしょうか。
 あるいは本当に彼らは不勉強で、本なんか読まない連中なのでしょうか。最近の偏差値秀才は本を読まなくなってきているという話も聞きますので、そんなこともあるのかもしれません。

(幻冬社新書2009年760円+税)

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