福岡伸一『世界は分けてもわからない』
分子生物学というのは高度な理論と地道な実験・観察との間にかなりのギャップがある分野のようです。細胞を手作業ですりつぶしたりという仕事の煩雑さは読んでいるだけでもいやになるくらいです。本書の後半には天才的に手際よく捏造データをこしらえた人物も登場してきて、何ともおそるべき世界だと感じました。
指導教授の求めるとおりの理想的なデータをそろえることができれば、学会で名をあげ、世間的な成功が約束されるのですから、そこに天才的な捏造家というものが登場してもおかしくありません。
しかし、そうして捏造したデータが実証する仮説が結局のところ、後時代の科学者たちによってその正しさが証明されてしまったことで、皮肉というか何というか、本当に不思議なことです。
著者はちょっとミステリー的なタッチで、このミクロの世界をわかりやすく説明してくれます。おしゃれですね。読者が多いのもうなずけます。いい本でした。
年末年始は論文を書くのに忙しく、また、通勤電車にも乗らないので、ブログ用の本を読むわけにはいきませんでした。でも、今日から再開です。4日から勤務というのも学校としてはちょっときついかもしれません。でも、授業時間を確保せよとのたまう文科省には逆らえないのです。
読者の皆さんにとっても今年がいい一年でありますように。
それから、この休みの間の論文執筆途中で読んだ本についても、感想を徐々にアップしていきたいと思います。
(講談社現代新書2009年780円税別)
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