奥田英朗『ウランバーナの森』
めっちゃ面白かったです。主人公のモデルとなっているジョン・レノンのファンにはたまらないだろうと思います。
ウランバーナというのは盂蘭盆で、お盆のことですが、1970年代にしばしば日本に長期滞在してヨーコの主夫をしていた当時のジョンが主人公です。軽井沢の旧家での一夏のスピリチュアルな体験というわけですが、お盆ですからいろんな亡霊たちが彼のもとを訪れるわけです。
設定もストーリーも実によく練られていますし、私は詳しくないのですが、解説によると、どうやらレノン関係の資料もきっちり押さえてあるらしく、そのせいか細部の描写にも驚くほどリアリティーがあります。このあたり奥田ワールドの面目躍如です。
亡霊たちが出てくるというのはまるで日本の能みたいですが、そのあたりも意識しているのが、この作家のすごいところです。橋がかりにあたる橋も出てきますし(その橋が笑い声を上げたりもします)よく考え抜かれています。そして、ジョンゆかりの亡霊たちが日本の霊的世界ともリンクするのがこのウランバーナの森というわけです。とにかく、こんな小説を書けるなんて楽しいだろうなあと思わされる本です。
今までジョン・レノンはそんなに好きではなかったのですが、この小説を読んでからはぐっと親近感がわいてきました。
(講談社文庫2000年571円税別)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント