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2010年1月12日 (火)

櫻井敬子『行政法のエッセンス』

 著者については橋本博之氏との共著『現代行政法』が好著だったので、以前から注目していましたが、本書は入門書として理想的な出来栄えです。高木光の『ライブ行政法』の改訂新版が出るのを心待ちにしていましたが、本書はそれをしのぐかもしれません。
 本書では中央省庁や司法制度の改革といった今日的なトピックが前半にまとめられていて、後半は行政法の基本原理と行政救済法が手際よく解説されています。行政法の現場のホットな情報も満載で勉強になりました。窓口指導なんて行政法の本で読むのは初めてですが、面白かったです(129頁~)。
 冒頭の「本書の使い方」というところで、初学者と既習者で分けて読み進む章の順番などが指示されていますが、そのあたりの構成も考え抜かれていて心憎いくらいです。こういう本が書ける人は本当に優秀なのだと思います。
 文体は「ですます」調で親しみやすいのですが、辛辣なことも結構書かれていて、かなり「熱い」人だなあという印象です。行政法学者には珍しいことに、本人が楽しんで研究に取り組んでいることが伝わってくる元気のいい文章です。
 前半では中央省庁改革における内閣機能の強化がきっちり評価されているのが特徴で、これは昨年の政権交代以降どうなっていくのかということも含めて、著者の考えを聞いてみたいものです。学生の頃なら著者の教える大学に聴講に行ったかもしれません。
 著者は最高裁判決のおかしいところも容赦なく批判していて、怖いもの知らずという感じですが、きっと、審議会委員なんかになろうとして時の政権に色目を使ったりするようなところがまったくないためでしょう。
 『現代行政法』も第二版が出たようなので、近いうちに買って読んでみたいと思います。

(学陽書房2007年2200円+税)

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