野口悠紀雄『日本経済改造論 いかにして未来を切り開くか』
著者の本がよく売れるのは、著者が他の誰も気がつかないことをしっかり実証的に指摘するからだと思います。本書はその特徴がはっきり出ています。
なるほどと思わされた指摘を以下に列挙してみます。
1.わが国のバブル以降の長い経済停滞の原因は金融機関にあるのではなく、企業の収益低下にある。
2.郵貯は民営化せず、国債保有機関になるべきである。
3.日本企業の収益性が低いことの根本原因は、企業がリスクをとらないからである。
4.日本の家計の食料関連支出は、アメリカのそれの1.4~1.7倍で、家計支出中の比率は、アメリカが9%であるのに対して、日本では18%と倍になっている。
5.こうした高い食料品への過剰支出だけでも総額で年26兆円になる。
6.人口の高齢者比率は2030年で49%、2050年で60%を超える。
7.現在の年金システムは設定の段階で致命的な計算ミスをしでかして、ほ検量を低くしすぎたため、積立不足になった。それは決して賦課方式と高齢化に起因すすものではない。
8.現在未納率4割の国民年金の不足分は厚生年金の基礎年金部分が負担している。
9.日本の消費税制度にはインボイスがないため、益税が沢山発生してしまい、財源としても不確かなものとなっている。
という具合で、テーマも多岐にわたりますが、それぞれ具体的な数値や根拠となる事実が示されているので説得力があります。決して雰囲気だけのお茶の間エコノミストのようなことはいっていないので、その点信頼できます。
2005年の本ですが、今もわが国は同じ問題を抱えたままなので、内容はまったくと言っていいほど古くなっていません。古書店で100円ならかなりお買い得です。
(東洋経済新報社2005年1600円+税)
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