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2010年2月 9日 (火)

川口創・大塚英志『「自衛隊のイラク派兵差止訴訟」判決文を読む』

 お世話になっている知人からいただいた本です。反戦市民団体を組織して裁判に訴えてみたら、判決文の中で、平成18年以降のイラク派兵は違憲であると明確に判示されました。画期的なことです。最近は裁判所も政治的判断を回避しなくなりつつありますが、保守派知識人にとってはまさかの坂がこんなところにという感じでしょう。
 第1審は予想通りの判決でしたが、高裁判決で違憲判断が出てきたのですから、控訴人はこのまま上告せずに判決を確定します。これで裁判所から自衛隊のイラク派兵は違憲というお墨付きを得たことになるわけです。政治手法としてこのやり方はこれからますます浸透していくと思います。
 すでに国民はこの度の政権交代によって、民意を国政に反映するのが他ならぬ投票行動だということにようやく目覚めたわけです。わが国はようやく普通の民主主義国家になってきたということができるでしょう。民主主義の軽佻浮薄なところもすべて投票者としての国民に跳ね返ってくることが、これからどんどん明らかになってくるでしょう。
 ただ、お人好しの国民なので、国境の外の無法の輩と今後どのように付き合っていくのか迷うことにもなると思います。外国ではカモのようにボコボコにやられて、国内では友愛とか「いのち」とかぬるい言葉でごまかすというのはバランスがよくありません。最近は犯罪者も国境を越えてやってきますしね。
 さらに民主党政権は、それに加えて外国人参政権もプレゼントしようというのですから、欲しいと言ってくる国があれば国民も領土もあげてしまいそうな勢いです。近代的国家意識が確立する前に解体させようというポストモダン的な実験をしたいのかもしれません。
 しかし、今後誰よりも政権担当者自身がこのジレンマに耐えられなくなってくるでしょう。アメリカに忠誠を尽くしながら反戦平和路線を貫くのはいわゆる統合失調症的状況です。それに加えてアジアから様々なプレッシャーを与えられると、そのうち国家を解散するなんて言い出しかねません。
 保守派知識人は本書をどのように受け止めるでしょうか。ちょっと興味があります。本判決の議論は法律論としては正論だと思います。憲法学者が興奮するのもよくわかります。しかし、これがいずれ数の論理によって政治に反映されるとき、どのような政策となって国民に跳ね返ってくるのかということはまだわかりません。
 いずれにしても、本判決によって今までよりも政治的な風通しはよくなるでしょうし、国民もより一層政治に関心を持たざるをえなくなるでしょう。時代の流れですね。
 これがうまく行かなければ鎖国でもしますか。

(角川書店2009年1500円税別)

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