北芝健『治安崩壊』
著者を一度テレビで見かけたことがありますが、さわやかなナイスガイだったので、強く印象に残っていました。本書は今日のわが国の犯罪状況を解説してくれるだけでなく、元刑事である著者が犯罪から身を守るためのノウハウも極めて具体的に指南してくれていて有益です。うちの子どもにも読ませておきたい本です。
題名どおり、わが国でも次第に状況は諸外国のおっかない都市のそれに近づいてきているのかもしれません。護身の心得は老若男女を問わず必要とまで言わないにしても、知っておいて損はなさそうです。
現場の捜査官たちの見込みとして語られている世田谷一家殺人事件や北九州の一家殺人事件の背後関係には説得力があります。この事件に限らず、わが国での外国人犯罪にはほとんどといっていいほど暴力団が絡んでいるというのも驚きです。
著者によると、治安活動に取り組む人にとって必要不可欠な要素とは「惻隠の情と、それに基づいて行動する勇気だ」(219頁)そうです。これは今日の世の中でどんどん失われていっている要素のような気がします。こんな要素を持ち合わせない人ほど役所や会社で出世していませんか?
でも、本書からは著者のような立派な警察関係者が少なくないことも窺われて、少しほっとさせられます。まだまだ日本は捨てたもんじゃなさそうです。
(河出書房新社2005年1500円税別)
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