屋山太郎『道路公団民営化の内幕 なぜ改革は失敗したのか』
タイトルを見るだけで内容が分かる本ですが、上下分離案とかプール制といった官僚のごまかしの手法が明らかにされていて、勉強になります。さらに、それに乗せられて馬鹿な踊りを踊った権力大好きの猪瀬直樹や、一見辛口風でで役人に擦り寄るだけの大宅映子のインチキさもしっかり批判されています。猪瀬直樹の『道路の権力』なんて要するに自分を飾るための私小説だったんですね。
本書は2004年に書かれたものですが、今読んでみると、政権交代を見事に予言している次のような記述もあります。
「改革に反対する族議員はまだ自民党にはゴマンと残っている。捲土重来を期して、小泉旋風の過ぎ去るのを待っている風情だが、改革がうまくいかなければ、小泉氏は歴代首相と変わらないと判定され、政権はいずれ民主党に移っていくだろう」(244頁)
さらに「もはや自民党の自壊は止められない。これが道路公団改革のあとに来るものだ」(246頁)という言葉で最終章を締めくくっています。というわけで、本書はまさしく予言の書になってしまいました。著者の取材能力と分析力の勝利です。
それにしてもお役所の論理のえげつなさがよくわかって辟易します。道路は公物だなんて急に言い出したりするのも下心丸出しなのですが、それを見抜くだけの目を養っておかないと税金はどんどん無駄遣いされてしまいます。
民主党になってからも改革の議論は錯綜していますが、政治家の勉強不足は自民と変わらないように見えます。どんな問題についてもそれぞれについて3~4冊の本を読む余裕があれば、ある程度のことはわかると思いますが、ひょっとして政権与党になると、議員にはそんな時間さえもなくなってしまうのかもしれません。
しかし、政治家がもう少し自分で情報を収集すれば、本当は政治家よりも現状維持でいたいマスコミ連中のバイアスの掛かった情報に踊らされることも少なくなると思います。本当は政策秘書なんてのはそのために存在していると思いますが、首相や幹事長の軽率な発言を耳にする限りでは、残念ながら政治家の基礎教養と知識の面ではほとんど役立っていないように見えます。
(PHP新書2004年700円税別)
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