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2010年3月26日 (金)

鷲田小彌太『「知」の勉強術 大学時代に何を学ぶか』

 著者の美点がよく出ている本です。こういう人生指南の書は著者のサービス精神とあいまって、しばしば道を見失いがちな若者たちにとって有益だろうと思います。決して説教臭いわけではないので、受け入れられやすいのではないかと思います。
 著者は悩み多い時期には大いに悩みなさいと言います。ただ、その際に大きな力となるのが、読み、書き、考える力だということで、そうした力を獲得する方法が説かれています。
 その点では実際のところ、若者でなく中年にとっても役に立ちます。ただ、学生時代には学生という身分だけでいろんな人と出会うことができるという特権もあります。本書ではそのことも含めて「終生の師」のもとに飛び込んで、ひたすら奉仕することの意義も書かれていて印象的でした。
 いわゆる「鞄持ち」は「その先生から知識や技術を学ぶ、生き方、生活のスタイルを学ぶ最良の方法なのです。ですから、若いときには、下働きは買ってでもしたほうがいい」(180頁)と著者は言います。同感です。どうも、これをやっている人とやっていない人とでは研究者になってからでも何か味付けが違うような気がします。
 たぶん師匠は師匠でそのまた師匠から同じように学んできたことがあって、その知的運動に参加しているという感覚がいつの間にかスタイルとして身につくのでしょう。その影響は自分の計り知らぬところで現れていて、気持ちが悪いくらいです。自分自身年をとるにつれて、ますますその感が強くなってきています。
 師匠の声は頭の中でしょっちゅう響いていますし、立ち居振る舞いも今でも目に浮かぶので、いつの間にかそれに自分が似てきていても、もはや修正は効かないのです。こりゃあ呪いの一種かもしれません。師匠畏るべしです。

 ところで、著者が薦める日本と日本人を知るための的確で簡単で楽しい道というのは司馬遼太郎の本をその代表作に限って時系列に読んでいくことだそうです。これは確かにいいかもしれません。まだ読んでいない『空海の風景』から『義経』という具合に順番に読んでみたいと思います。

(KKベストセラーズ2000年667円+税)

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